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小説高峰温泉物語

標高2000メートル、長野県・高峰高原山稜上に立つ高峰温泉は、かつて谷間に湯煙を上げ、登山客に親しまれていた1軒宿だった。しかし1977年(昭和52年)11月、天然ガスの引火で全焼してしまう。高峰温泉を経営する後藤克巳・英男父子が力を合わせて宿の再建を果たした、汗と涙と苦悩の物語を小説風にまとめたのが「小説 高峰温泉物語 親子二代―苦悩の温泉再建記」。

汗と涙と苦悩の再建物語に学ぶ姿勢

著者は現代旅行研究所の社長で、旅行作家の野口冬人さん。野口さんは後藤克巳・英男父子の宿を守る熱心な姿に打たれ、機会を見て『高峰温泉再建物語』を書き留めておきたいと考えていた。

当初はドキュメンタリーとしてまとめるつもりで書き起こしたが、何度かにわたる取材を通して、小説化しないと現存する人への誤解や、様々な迷惑が生じる場合も出てきたそうだ。

しかし、それらを伏せてしまっては作品の面白さが半減すると判断し「小説高峰温泉物語」としたという。

同じ現代旅行研究所の専務であり、旅行作家の竹村節子さんが同人誌「旅行作家」にまとめた「この自然を確実に未来へ手渡すため」を巻末に収録している。

これは竹村さんが現社長の後藤英男さんの思いを聞き書きしたものだが、その中で後藤さんは「自然は実に正直だ。人間が自然に逆らうから災害が起こる確率が高くなる。自然の摂理に沿うことが不便というなら、甘んじて受ける。『そんな宿が一軒ぐらいあってもいいじゃないか』。英男さんはそう考えている」。

この言葉に高峰温泉の一軒宿としての姿勢がすべて表れているといっても過言ではない。自然と宿の共存。高峰温泉の営業スタンスから学ぶことは多い。

本書は書店販売をしておらず、購読申込みは現代旅行研究所 電話03―3362―9752へ。定価は本体1200円+税。

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