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転換するグリーン・ツーリズム

学芸出版社からこのほど「転換するグリーン・ツーリズム 広域連携と自立をめざして」が刊行された。グリーンツーリズムの実践支援に取り組んでいる東洋大学教授の青木辰司さんが、グリーンツーリズムの一層の普及に向け、今後目指すべき方向性を説いている。

農村の未来を考える

著者は本書で、日本におけるグリーンツーリズムの現状を「転換期」と指摘。事例を挙げながら課題を分析し、行政主導から住民主導へ、そして個別事例から広域連携、重層的なネットワークづくりが求められていると主張する。

また、日本のグリーンツーリズムの類型をまとめ、個々に実情と課題、可能性に言及している点もわかりやすい。「社会的自己実現型」は農家民宿や農村民泊、農家レストラン、「資源活用型」は滞在型市民農園や空き家・古民家活用など、近年登場してきた取り組みを細かく紹介。量的拡大から質的向上・充実へ、運動からビジネスへ、点から面へ、自立型ネットワークへの転換といったグリーンツーリズムに横たわる課題に対し提示した方法論は説得力を持つ。

村社会の内発的な発展論理を外部が支える「協発型発展」。これを地域活性化への基本姿勢に、グリーンツーリズムの可能性を生かすべきだと結んでいる。農村の未来を考える上で必読の1冊。

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