観光業界専門紙「トラベルニュースat」が旅の最新情報をご紹介
ホーム   >   旅行情報   >   鉄道ネタ   >   鉄チャンあらしん

半世紀走り抜けた名列車に別れ さようなら「北陸」・前編

ここ数年、年末から翌年3月中旬までとても寂しい気持ちになり、それを紛らわそうと必死で旅に出かけています。鉄道ファンにとって「厳しい現実」を突きつけられるのが、ちょうど今の時期だからなのです。

いてもたってもおられず乗り込んだが・・・

さようなら「北陸」 前編

毎年3月中旬にJRグループ全社は一斉に「ダイヤ改正」を実施します。新線の開業や新車両の登場、運転ダイヤの見直しなど利用者へのサービスアップが図られる一方、ダイヤから消え去る列車も少なくありません。

昨年12月18日、2010年のダイヤ改正が3月13日に決まり、その概要が発表されました。僕にとっては、非常に衝撃的な現実でした。

上野―金沢間を1往復している寝台特急「北陸」が廃止、夜行急行「能登」の臨時列車化、そして大阪―金沢を7往復している特急「雷鳥」を1往復に減らすというのです。また、新型521系近郊型電車の追加投入で全国で唯一の国鉄急行型475系の定期運用が大幅に減り、北アルプス沿いの大糸線に定期運用として唯一残るレトロな気動車キハ52も消え去ることが明らかにされました。

「北陸」は、もう数少なくなってしまったブルートレインで、半世紀の歴史を走り抜いた名列車です。「能登」は、国鉄在来特急の象徴ともいえる最後のボンネット形車両を使う急行でしたが、あの愛らしい顔をしたアイドルは引退、「雷鳥」は北陸特急街道を長年支えてきた主役の座を後輩の「サンダーバード」へ譲ります。いずれも車両の老朽化を理由としたものですが、それは同時に、国鉄型車両の行く末がはっきりと見え始めていることを意味しているのです。

北陸能登揃い踏み

99年3月以来見られる始発・金沢駅での北陸(右)と能登の揃いぶみ。
この光景をまぶたに焼き付けたい

もういてもたってもおられず、早々に休暇を願い出ました。鉄道ファンとしてしっかりお別れを言わなければという思いからです。幸い、1カ月前の乗車券発売日、発売と同時に1月13日の金沢発上野行き「北陸」の寝台個室のチケットを手に入れることができました。

いざ当日、金沢から列車に乗り込んだものの・・・。なんと4年ぶりという寒波の到来で、近年稀に見る大雪に見舞われてしまいました。「北陸」は何とか新潟県・柿崎駅まで運行したのですが、15時間もの抑止停車の後に列車は運休、泣く泣く代行バスと新幹線というまったく別の交通手段での振替輸送になってしまいました。

このままでは、ちゃんとしたお別れにならないと思い、今一度、完乗すべく残りわずかとなった「北陸」の寝台券を手に入れようと試みるも、社会人が乗車しやすい週末便は発売と同時に完売続き。「もうダメだ」と、あきらめかけていた矢先でした。

日本旅行が最終列車ツアー 花道飾る企画に歓喜

日本旅行が「寝台特急『北陸』ファイナル!上り最終列車乗車」ツアーを発売することがわかったのです。しかも運転最終日の3月12日発限定で。もう嬉しくて、これまた発売と同時に参加の申し込みをしました。

「昨今の鉄道ブームにあわせた、鉄ちゃん鉄子さん向けにご用意したプランです。ツアー参加者だけにお渡しする記念乗車グッズもご用意しています」と、日本旅行ご担当の玉川さん。ありがとうございます!

というわけで次回、運行最終日の涙、涙の「お別れ乗車記」をご紹介します。あ、休暇願いを出さなくっちゃ。

あらしん...鉄道をこよなく愛するヲタク。鉄ちゃん。一部私鉄を除き、全国の路線を乗車。鉄道好きが高じて車内販売員歴も。現在一人息子を立派にしよう?と鉄道のイベントに連れ出している。

購読申し込み
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ