瀬戸内や高山・北陸へー訪日客を呼び込め JR西日本や東海が周遊パス
JR各社が中心となり、訪日客を西へ呼び込もうという取り組みが活発化している。鉄道をはじめ公共交通機関を自由に利用できる周遊パスを設定。地域の魅力の訴求と利便性の向上で新・ゴールデンルート創出につなげる。
JR西日本は山陽新幹線開業40周年を迎えた今年、JR四国や近畿、中国、四国、九州各運輸局、岡山、広島、香川、愛媛の瀬戸内海沿岸の自治体らと連携して2月に「西遊紀行」プロジェクトを発足。関西から九州への観光ルートの整備を目的に、周遊商品の設定や海外プロモーションを行い、誘客を促進しようというものだ。
プロジェクトの第1弾として「瀬戸内」をターゲット地域に設定し、6月1日に「瀬戸内エリアパス」を発売した。海外の旅行会社でのみ販売するもので、購入資格は訪日客のみ。訪日客へ関西空港から瀬戸内エリアへの広域観光を促そうと設定した。販売は来年6月26日まで。
パスは関西空港から大阪市内、山陽新幹線、岡山から高松、松山などのJR線のほか、宮島航路や広島―松山を結ぶスーパージェット、高松・新岡山港―小豆島のフェリー、尾道―今治のバスなどが乗り放題。瀬戸内エリアの観光素材をまとめた観光ガイドマップを4カ国語で作成したほか、観光施設やレンタサイクルの利用料割引などの特典もセットし、訪日客の域内周遊の利便性を高めた。
これにあわせ、海外でのプロモーションも開始。6月に香港での「香港国際旅行展示会」やタイでの「FITフェア」など主に東南アジアでの旅行博に出展し、地域の魅力をPRしていく。
一方で、JR東海とJR西日本は共同で北陸から三重・和歌山の南北のラインを売り込もうと、高山・北陸エリアと伊勢・熊野エリアで周遊きっぷを設定。こちらも6月から海外の指定旅行会社で販売を始めた。
高山・北陸では関西空港や名古屋から富山・金沢のJR線と北陸新幹線・富山―金沢間が利用可能。伊勢・熊野では名古屋―紀伊勝浦と多気―鳥羽のJR線が、それぞれ連続した5日間利用でき、バス路線も乗り降りできる。訪日客を白川郷や熊野古道といった世界遺産はもちろん、域内をゆったりと周遊してもらう。