梅小路蒸気機関車館、最後の1日(1)
鉄道ファン、そして蒸気機関車(SL)ファンの聖地であった京都市下京区の「梅小路蒸気機関車館」が8月30日、閉館しました。来春オープンする「京都鉄道博物館」と一体となって運営するための一時的な閉館ですが、最終日の来館者は1万1206人でJR発足以降最多となりました。
1万人以上が"聖地"に別れ
JR西日本・梅小路蒸気機関車館
梅小路蒸気機関車館は旧国鉄時代の1972年に鉄道100年記念事業として開館しました。全国各地から16形式17両のSLを選び展示。SLが全国から急速に撤退していたころと重なり、梅小路蒸気機関車館は当時のSLフィーバーの最前線でした。2009年には明治時代に製作された1070形式「1080」が民間企業より譲渡され明治、大正、昭和と三時代のSLがいる全国唯一の博物館にもなりました。季節限定で現在も走るSLやまぐち号やSL北びわこ号をけん引するSLの検修庫として現役で稼働しています。
最終日の30日は、早朝から開館を待つ約1千人の行列ができました。片道500メートルの展示線を実際に走るSL列車「スチーム号」は増発、扇形車庫に並ぶSLの前で記念撮影する列も閉館まで途切れることはありませんでした。閉館間近の16時ごろには、扇形車庫から「C62―1号機(シロクニのトップナンバー)」がけん引されて登場。滅多に動くことのない静態保存機ですが、そのままターンテーブル(転車台)を回るというサプライズな演出もありました。
閉館セレモニーで、JR西日本の真鍋精志社長は「43年間、約850万人の方に来館いただきました。SLの仕組み、技術などにこだわって展示してきました。多くの人にご支援いただきありがとうございました」とあいさつ。
同館の三浦英之館長は「今日で『梅小路蒸気機関車館』という名前は最後です」と話し「43年間のご愛顧ありがとうございます」と書かれた特製の横断幕を披露しました。
(トラベルニュースat 15年9月10日号)