「北近畿」復活と引退の感慨(1) 企画列車に熱狂
JR西日本の特急「北近畿」号が3月末、大阪駅と城崎温泉駅を往復しました。2011年春まで約25年間親しまれてきた特急のリバイバル運転です。車両はもちろん、クリーム色のボディにエンジ色のツートンカラーの国鉄特急色が施された183系特急形車両。窓下のエンジ色の帯が細く入っているところがお気に入りです。
最後の雄姿に多くのファン
JR西日本・特急「北近畿」
復活運転は、日本旅行とJR西日本が企画した団体列車「なつかしの北近畿」号で実現しました。「北近畿」はもともと新大阪駅から山陰本線の福知山駅や豊岡駅、城崎温泉各駅間を走っていました。現在は特急「こうのとり」に名称が替わり、この3月16日のダイヤ改正で、新型の287系特急形電車などを中心とした運転になりました。
ですから、今回の企画は「北近畿」号の復活とともに、183系の引退運転でもあるのです。
3月30日の大阪駅。183系のラストランをひと目見ておこうと、参加者をはじめ、大勢のファンが詰めかけていました。それは大阪駅に限らず、これから走っていく先々の沿線でも最後の雄姿を収めようと多数の鉄道愛好家がカメラを構えていました。
定刻の9時33分、183系はゆっくりと走り始めました。通常なら城崎温泉駅まで2時間40分程度で走り抜けるところですが、この日は途中で後輩の287系に先を譲りながら約4時間かけてゆっくりと走ります。
車窓からは例年に比べずいぶん早く咲いた桜が183系の別れを惜しむかのように咲き誇る眺めが広がっていますが、車内もまた大盛況。この日のために製作された行き先方向幕シールや列車名板(サボ)などのグッズが販売され、乗客の皆さんの盛り上がる声が響いていました。
大阪駅から3時間ほどで山陰本線・和田山駅に到着しました。約10分間停車し、183系の撮影会です。ご当地キャラ「玄さん」も乗り込み、子どもから大人まで皆の人気を集めていました。13時23分、終着駅の城崎温泉駅に到着。長かったはずの乗車時間もあっという間でした。
このプランは、日帰りや乗車だけのプラン、宿泊往復プランなど利用者に合わせて多彩に用意されています。私は少しぜい沢に宿泊往復乗車プランに参加したので、その夜は城崎温泉の外湯めぐりを楽しみました。
(トラベルニュースat 13年4月10日号)