「北近畿」復活と引退の感慨(2) ツアーで花道を
183系は、JR西日本の主力特急電車として活躍してきました。もともとは、交流区間と直流区間のどちらでも走行できる万能な485系(一部489系)特急型電車で、かつては北陸本線の特急「雷鳥」や東北本線の特急「ひばり」などで使用されました。91年以降は直流区間専用となりました。「北近畿」のほか京都駅―城崎温泉駅間の特急「きのさき」などでも活躍していました。一時はJR西日本だけで100両近くが在籍したこともありました。
企画担当者の熱い思い
翌31日は本当に最後の最後、183系が乗客を乗せて走るラストランです。城崎温泉駅を13時35分に出発、天気予報は雨だったにもかかわらず天気も味方して、大阪駅10番ホーム17時36分に到着するまで、決して降り出しませんでした。沿線や大阪駅では昨日にも増して大勢のファンが最後の雄姿を目に焼き付けていました。
ツアーを企画した日本旅行チーフマネージャーの玉川淳さんは「183系がいよいよ定期運用を引退するので、花道を飾ってやりたい。長年の活躍を労い、登場時の『北近畿』の名にこだわった1往復限りの復活運転です」。半年も前から企画を練っていたというから、玉川さんの思い入れも相当なものです。
気が付けばJR西日本所有の旧国鉄形特急車両は、定期列車に限ると特急「こうのとり」のほか「くろしお」や「やくも」で使用される381系特急形電車のみになりました。ひとつの時代が終わりを告げる瞬間を目の当たりにした感慨を抱いています。
あらしん 鉄道をこよなく愛するヲタク。鉄ちゃん。一部私鉄を除き、全国の路線を乗車。鉄道好きが高じて車内販売員歴も。現在一人息子を立派にしよう?と鉄道のイベントに連れ出している。
(トラベルニュースat 13年4月10日号)