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「旅人」が記す一期一会の本質 関口知宏のヨーロッパ鉄道大紀行―イタリアをめぐる旅

国民性や気質を見ておきたい。そうすると、本当の国際社会の姿も、本当の私たち日本人の姿も見えてくる―。本書の「はじめに」はそんな書き出し。あれ? 想像していたの違う。もっとお気楽な本ばかりだと…。

NHKのBS放送で見るとはなく見ていた番組、関口知宏さんの鉄道旅が本になった。すでに何冊か出ているらしいのだけれど、今回紹介するのは「関口知宏のヨーロッパ鉄道大紀行・イタリアをめぐる旅~ローマ、ミラノ、ナポリをゆく~」。

ローマからナポリまでイタリア半島をガタゴト揺られながら出会う風景や人々をあたたかいタッチの自筆のスケッチとともに、関口さんが紹介していく。加えて現地の人との触れ合いの中に、混とんとし始めたヨーロッパの現在を見い出そうとする眼差しも持ち合わせて旅を続けている。

たぶん、車でもなく飛行機でもなく船でもなく、もっと言えば歩きでもなく、鉄道の旅だから見えてくるのだろうなと想像する。鉄道は誰と隣り合わせになるかもしれないし、閉鎖的でもないし、風土や気質に触れる抜群の旅のツールなのだ。で、関口さんは、その鉄道の利点をフルに生かしていく。

もちろん、イタリア半島の歴史、食、文化もちゃんと紹介している。

以下「おわりに」の要約。「多くの人がいい面だけを見て帰る旅行をしようとしますが、それは本当のポジティブではありません。癒しをもらうだけの『観光』で終わるか、出会った人々の間に何らかの『絆』を感じ、本当の『旅』になるのかの違いは、互いの『運命』の存在に気づけたか、その有無にあるのです」。

関口さんが一期一会、旅の縁というのを大事にして旅を重ねているのだろうという想像は難くない。著者ではなく「旅人」と本書に記しているところにも関口さんの思いが伝わってきたのだった。1500円(税別)。

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